創立総会報告
私たちをとりまく情勢
5月14日集団的自衛権を具体化する内容を含む安全保障関連法案が閣議決定し、15日衆院に提出されました。国会会期を延長してまでも、成立を図る方針です。
平和と人権は密接な関係を持ちます。平和の中でこそ人権が保障され、人間らしく生きることが出来ます。日本を再び戦争する国にしない為に、憲法9条を守ることを、今こそ真剣に考え行動するときです。
年金は、受給額の引き下げ、保険料のアップで、現在老齢基礎年金は満額で72万となっています。受給年齢は65歳からさらに引き上げについて検討されています。旭川市の老齢基礎年金受給は増加し、同時に高齢者世帯の生活保護受給も増加しています。もはや、年金のみでの生活は憲法の保障する最低限度の生活をも維持できないところにあります。
介護保険料は、道内の月額平均が5100円を越え、10年後には7千円超えの推計がでました。今回の改訂で、利用者負担が2割へ、特別養護老人ホームの入所は要介護3以上に限定され、予防給付から訪問介護と通所介護が除外されます。負担ばかりが大きくなり、必要な社会保障が追い付けていない状況にあります。
一方で、労働者の4割の2千万人が非正規社員で、北海道では25~34歳の雇用者に占める非正規社員の割合は、42.8%女性はなんと63%と、2人に1人が非正規社員という雇用状態です。道内の官製ワーキングプア調査では、道内地方公務員の非正規の6割以上、郵政現場の非正規の7割が年収200万未満という結果でした。非正規は賃金の違い、健康保険や年金などの社会保障も得られず労働条件が劣り無権利状態です。さらに雇用の調整弁としてあるため、解雇の不安が付きまといます。
子どもの総体的貧困率は16.3%、6人に1人が貧困のただなかにいます。就学援助を受けている子どもはこの2年間で倍加し、北海道は9万人超となりました。5月5日付の道新に「独りで食事の子ども支援」の記事が掲載されていました。子どもの健全な成長を地域や社会が見守る取組も行いたいと思います。
高齢化社会の進展の中で、自分らしく生きること。若者の半分の労働者が非正規で無権利の労働環境の中で、人生を夢と希望を持って創造すること。子どもが平和の中で、大人たちの温かな眼差しに見守られ、安心して成長出来る環境をつくること。これらを協同して取り組みたいと思います。
2015年度事業計画方針の提案
2015年度は、①開設を成功させ②組合員の満足度の高い実践と③組合員の尊厳が重視される質の高い生活支援と健康づくりに取り組むことを、重点課題とします。
事業の内容について、住宅建設、生活支援、アクテビテイ、移動支援の検討、健康管理の5つについて提案します。
① 住宅建設についてです。
まず、自立群を対象とした小規模の共同住宅から開始し、次に介護要求に応える住宅の建設を中期計画とします。土地取得の候補として、市街中心部、旭川近郊の周辺町村を検討しています。最初の住宅は、今年度中に着手し、次年度の入居を目指します。
② 住み慣れた家で住まうことの支援(生活支援)についてです。
生活支援は生き方が異なるようにひとりひとり様々です。そこに応えられるオーダーメイドの支援形態を目指します。各々の持てる身体機能が最後まで活かせる支援形態を探ります。信頼関係の構築の中で実践します。
③ 生活のゆとり・人間らしさ・自分らしさを重視するアクテビテイについてです。
民家を改修した小規模デイサービスを検討し、保険外の利用者が参加できるコミュニティとして地域へも開放したいと思います。作るから食べることまでを楽しむ食事や、無農薬・無添加の食材選び、そして農作業など、質の高いアクテビテイに挑戦します。前出の子どものひとりで食事の支援とも繋がり、多世代の協同へ広がると思われます。
外出や旅行など、生きがいの持てる生活を広げ、生活のゆとり・人間らしさ・自分らしさを重視するアクテビテイに取り組みます。
④ 移動支援の要求について検討します。
道内の免許保有者に占める65歳以上の割合は10年前の12.6%(約42万人)から20.3%(約69万人)へ増加しました(道警による)。これに関わって事故も増え、1年に3回以上の事故を起こした65歳以上のドライバーは346人になると道警がまとめました。免許を返納することに対して、「引き際は考えているが、いま車がなくなると困る」という現状があります。自家用車は移動手段として生活に欠かせないものとなっています。移動や物を運ぶための代替交通手段がないということもあります。「運転が出来なくなると、生活は変わる」と考える人は多くいます。要望の大きな移動支援について検討したいと思います。
⑤ がん検診や認知症チェックなど、組合員の健康管理を進めます。
日本医療福祉生活協同組合連合の協力を戴き、がん検診や認知症チェックなど、組合員の健康管理を行います。
これらを進める為に、①仲間(組合員)を増やします。今年度目標を500人、出資金700万とします。②健康講座や出前講座、相談活動などの健康づくり活動や健康レストランなどのアクテビテイ、機関誌発行による活動の交流、協同組合の理念、社会保障制度や憲法の学習、平和や環境を守る活動など、活き活きとした組合活動を元気に旺盛に取り組みます。
私たちが福祉生協立ち上げの呼びかけを行うに当たり、大切にしたことは、人権です。
旭川市高齢者意識調査では、多くの方が自宅での生活を要望しその為の支援を望んでおり、高齢者が生きがいをもって暮らすために大切なこととして、外出・旅行が一位に挙げられています。しかし、実際は「週1回以上の外出が出来ない」方は全体の1/4に該当し、これは介護度が高くなるにつれ多くなり、要介護2では2人に1人が該当します。望んでいることとは反対の状況に置かれています。高齢化に伴う身体機能の低下は自然現象ですが、被介護状態では負担をかけている意識があり(被介護状態への)抵抗感が生まれます。子どもや身内の介護者にも大きな負担感があります。家族介護で起こる両者のリスクを解消し、良い関係で生活できることが望まれています。一人一人が経済的にも精神的にも安心して自分らしく生きることを望んでいます。この間、沢山の方々の話を聴かせて頂きました。その中で、「人間の尊厳が重視され、社会のコストではない担い手としての役割を発揮したい」「先々の不安や心配ではなく充実した時間を過ごしたい」という人間として生活者としての要求がありました。ここが出発点となりました。私たちは、この要求の実現の為に医療などの関係団体と連携し、協同組合運動を進める決意を表明して、事業計画についての提案とします。
(資料)
協同組合は
今から170年前の1844年、イギリスのロッチデールで誕生し、28人の労働者が週2ペンスの積立と1年で1人1ポンドずつの出資により、安心して利用できる自分たちの店を持ったことに始まりました。
生活協同組合の原点は、「組合員が自ら出資し、利用し、かつ運営参画する」というところにあります。一人ひとりが自分たちのより良いくらしをめざして、自ら資金(出資金)を持ち寄り、作った自主的な組織が、生活協同組合です。生協は「会社」ではなく、生活協同組合法に基づく「協同組合法人」です。